2020年5月30日土曜日

Vol.14 各モデルについて ~ KRONOS(クロノス)




皆様、こんにちは。


次にご紹介します商品は、

ラウンドジップウォレット、KRONOS(クロノス)です。

ドン!

*画像はグレージュ。他にブラック、ネイビーの3色展開
特別生産品のヌメクロコバージョン(総革裏仕様)もあり



もう今や完全に社会権を得たこの形、ポイントカード、保険証、診察券等々

カード類が多い日本ではなんだかんだ重宝される型ではないでしょうか?

型によってはスマホも入りますもんね。


革が薄く、部分的にライニングも使用しておりますため重量感はなく、

レザーとは思えないくらい軽いです。

財布に全て入れて持ち歩かないと不安、という方にはやはりうってつけの

デザイン、容量なのだと感じます。


パッと見たところ「リザードがどこに使われているかわからない」

かもしれませんが、、ここに使ってます。

そう。財布を開いたマチの部分!!しかも片方のみ。

さりげなくリュクス感を漂わせる仕様です。

ファスナーはYKKの最高級ライン、エクセラ。

内部の小銭入れに使用しているのも同様です。

そして商品名。

こちらの商品もブランドとの親和性やキャラクターのストーリーを

連想させる意図でギリシャ神話の神々の名を冠しております。

もっと知りたい方はこちらもご覧いただけますと幸いです。


ブランドロゴ ブランドコンセプト





そして話を戻すと、、

【KRONOS(クロノス)】

全知全能の神であるZEUS(ゼウス)の父で、

大地及び農耕の神で、山より大きな巨神族ティターンの長。

更にOURANOS(ウラーノス)の次に全宇宙を統べた2代目神々の王!!!

なんだか財布のスケールにマッチしているようにも感じます。

万物を切り裂くアマダスの鎌が武器ですって。

すごい神が立て続けに登場していますね。



では、今日はこの辺で。



管理人Y







2020年5月29日金曜日

Vol.13 各モデルについて ~ OURANOS(ウラーノス)




皆様、こんばんは。


モデル紹介、本日ご紹介するのは小銭入付き長札入れ、

OURANOS(ウラーノス)です。

ジャン!




*画像はネイビー。他にブラック、グレージュの3色展開



先にご紹介しましたZEUS(ゼウス)と比較すると札室にマチがなく

非常に薄い作りとなっており、ジャケットの胸ポケットなんかも

一般的なポケットサイズであればスマートに出し入れできます。

形はシンプルな長財布ですが、機能は無駄なし、抜けなし、ダブりなし!!

できる人っていつもそうです(笑)

1stコレクションの素材は ボーダーハードとワンポイントでリザードを使用しており、

リザードとファスナーの金属感がいい塩梅で効いています。



*長くて浅めの小銭入れは小銭の視認性が高く使いやすい。リザードもさりげないアクセントとなっている。
ちなみにファスナーはYKKの最高級ラインと言われるエクセラ。
スライダー&引手は財布を閉じたとき向かい側のカードを傷つけないようにする為平たい特殊な形状のものを採用。




最近はキャッシュレスの普及に伴い財布が小型化してきていますが、

「より小さく」ではなく「より薄く」を追求するとこの形が究極型ではないかと

思っています。



ZEUSと同様、1stコレクションでは一部のモデルにおいて部分的にオリジナルライニングを使用しております。






話が少し逸れますが、個人的に昨今のミニ財布ブームがやや過剰な気がしていまして、

“最低限を持ち歩く” という意味ではこのOURANOSは一番適しているのではないか、

これに余剰なカード類だけを纏めて収納するカードケースをセットで持てば

紳士らしいスマートさを一番演出できるのではないかなと。。。。

一人ひそかに思っております。ハイ。



近いうち様々なオケージョンに合わせたセット提案の機会も作りたいですね。



商品名については、前回の繰り返しになりますが

ブランドロゴブランドコンセプトからもお分かりのように

「神」がブランドのイメージ形成に深くかかわっており、

そこから商品名もギリシャ神話の神々の名前を冠することでブランドとの親和性や

キャラクターのストーリーを連想させるといった意図を持っております。



で、ウラーノスはといいますと、、、


【OURANOS(ウラーノス)】
ギリシャ神話に登場する天空神で全世界を最初に統べ(すべ)た原初の神々の王とされる。

果てしなく巨大な体躯を持ち、無数の銀河系が鏤められた宇宙を常に身に纏っている(!)


かっこよすぎません?「銀河系がちりばめられた宇宙を身にまとっている」って。。。。

PITTI UOMO(イタリアで行われるメンズプレタポルテの展示会)とか行っちゃったら

確実に話題騒然ですね(笑)。



財布のウンチク語るとき、素材と作りに加えて名前の話もしたら盛り上がりそうですね。



では、今日はこの辺で。


管理人Y

2020年5月28日木曜日

Vol.12 各モデルについて ~ ZEUS(ゼウス)




皆様、こんばんは。


今日から各モデルのデザイン、機能などについて少し見ていきたいと思います。


まず始めは、長束入れ ZEUS(ゼウス)です。




*写真はブラック。他にネイビー、グレージュの3色展開。


形はオーソドックスな長財布ですが、直線的で凛とした雰囲気があります。

また1stコレクションの素材はボーダーハードとワンポイントでリザード

を使用しています。



機能は札室にマチのついた札束が入る部屋が特徴的で、マチなし札室が1か所、

カード段が6か所、長めのアオリポケットが1か所、深めのカードポケットが1か所

となっております。

紳士向け、特にエグゼクティブ層に適しているのではないかと思います。


そして1stコレクションでは一部のモデルにおいて部分的にオリジナルライニングを

使用しております。






商品名については、ブランドロゴブランドコンセプト からもお分かりのように

「神」がブランドのイメージ形成に深く関わっており、そこから商品名も

ギリシャ神話の神々の名を冠することでブランドとの親和性や

キャラクターのストーリーを連想させるといった意図を持っております。



ゼウスについてはブランドロゴの回で説明しましたのでご存じかもしれませんが、、、


【ZEUS(ゼウス)】

ギリシャ神話における全知全能の神。オリュンポスの神々の家族、

そして人類の守護神、支配神。ただし非常に人間味あり(笑)。


ポイントは、“絶対神だが人間味あり”ってとこです。

ご興味ある方はぜひ調べてみてください。結構ハチャメチャです(笑)。



では今日はこの辺で。


管理人Y





2020年5月23日土曜日

Vol.10 素材について(ヌメクロコ コレクション)




皆様、こんにちは。


今日はスポットで製作しましたヌメクロココレクションの素材について、

少し掘り下げていきたいと思います。


クロコダイル革、カッコいいですよね。

私もクロコ大好きで、あの何とも言えない色艶感がたまらないです

(一つも持っておりません。憧れだけです汗)。


*画像は藤豊工業所HPより


あの、人々を引き付ける魅力は何なんだろう、といつも思います。


私以前某レザーブランドにて営業経験がありまして、

クロコ商品企画に携わることが幾度かあり、黒、茶はもちろん

藍染めや柿渋染めなどの変化球も瞬殺で完売!!させたこともあったりして

多少クロコ知ってるぞ!!という自負があります。


(注:誤解のないようにお伝えしておきますが、

完売したのはブランドバリュー、そして作った職人さんたち、

販売したスタッフの皆さんたちのおかげです)


しかしその携わってきた中でいつも疑問に思うことが一つあり、

しかしながら疑問のままにしてきたこと。。。。それは、、



“クロコはなぜ、クローム鞣しばかりなのか?”


です。

おそらく革との相性などでクローム以外では鞣せないんだろう、

と自己完結していました。


しかーし、やっぱいるんですよね、こういう定説というか常識を疑う方々が。

先代から数十年もの間、渋(植物性タンニン)鞣しのクロコを試行錯誤されている

国内屈指のタンナーがいるとのことで、行ってまいりました。それが、、、、


*画像は藤豊工業所HPより。


藤豊工業所 さんです!!




一般的に総流通量の9割以上がクローム鞣しと言われている中、

渋鞣しクロコ革の製造に長年取り組んで、近年クロームフリー、ホルマリンフリーの

環境保護に配慮したタンニン鞣しのクロコ革「エコレザー」をリリースし、

世界的にも注目を浴びているタンナーさんです。



周りの常識に流されず、「人の心を動かすレザーを作る」という高い志をもって

先代から長年取り組んでいらっしゃったその情熱と、品質、環境保護への配慮など、

時代の流れの変化にも対応されているところは大変共感できました。



今回仕入れさせて頂いたのは今まで見たことないクロコ革、渋鞣しのヌメクロコ。

*ご存じない方のために“ヌメ”というのはいわゆる素上げ、生成りだと解釈していただけると
よろしいかと思います。

渋鞣しの良さの一つがダイナミックな経年変化だと思っていますので、

それがヌメのクロコで味わえるなんて。。。。よだれ出ました。

種類はシャムワニの一等級になります。

実はシャムワニは一般和名でして、学名は”クロコダイル シャメンシス”

という何ともエレガントな学名がついております。

鱗の形状はイリエワニよりやや大きめの長方形なのが特徴ですね。




今後も様々なお取り組みをさせていただきたいタンナーさんです。

ぜひご期待くださいませ!



長くなっちゃいましたので、合わせの革については、次回にします。



それでは、この辺で。



管理人Y



Vol.11 素材について(合わせの革 プエブロ サビア)




皆様、こんにちは。


前回に続き、ヌメクロコ/ヌメコードバンコレクションの合わせの革についてです。



もはや説明不要かもしれないぐらい知名度が上がりました、

イタリアのバダラッシ・カルロ社が伝統的なバケッタ製法を

現代に蘇らせ作る銘革の一つ、プエブロです。


100%植物性タンニン鞣し、加えて牛の脚を煮沸して抽出した

「牛脚油」という油分を時間をかけてじーっくり加脂していく、

手間暇かかる製法で作っています。


また銀面(革の表面)に特殊な起毛加工を施してあるのもこの革の特徴で、



彫刻刀の丸刀のようなものでうっすらと無数に刃跡をつけたような、

一風変わった模様で起毛させており、和紙のような質感とも評されますが

とにかく独特な表情をしています。


使用していきますと、表面の毛が寝て光沢を帯び始め、

油分が大変抜けにくいため色の深まりとともにツルツルピカピカになる

という比較的短期間でダイナミックな経年変化が楽しめる革素材として

近年人気を博している革です。

※プエブロ サビアの経年変化の参考画像。左が使用8か月、ケアは乾拭きのみ、右が未使用品です。



今回SEEGERではカラーは表のヌメクロコに合わせて、サビアをチョイスしました。

いわゆるナチュラルにあたる色ですが、意外と他ブランドでは使われていないようです。

(コニャックが多いみたいですね)。




あ、そうそう、もう一つ自分の中での長年の“仮説”がありまして、、

それは、


“表の革は、裏に貼り合わせた革の特性によって経年変化の仕方が変わるのではないか?”


というものです。

これはですね、どこから湧き出たかというと、

以前所属していたレザーブランドで、ガルーシャ(エイ革です)の裏に

植物性タンニン鞣しの革を貼ったタイプと、クローム鞣しの革を貼ったタイプを

それぞれ数年使用したものを見比べることがあったのですが、


ガルーシャの経年変化が明らかに違う(ように感じた)んです。

タンニン鞣しを貼った方が、美しいアンティークカラーに育っており、

もしかしたら油分やタンニンの含有が貼り合わせた革の経年変化に作用している

のではないか?

もしかして裏からジワ~っと油分とタンニンが表に染み出してきてる?

と感じたのが発端です。



とはいえ、2種類作ってヨーイドンで検証するにはいたっておりませんが。。。。
いつかやってみよう!



まあ、そんな思いも片隅に置きつつ、このヌメクロコとプエブロ サビアとの

鉄板コンビネーション、ぜひ楽しんでいただければ幸いです。


では、今回はこの辺で。


管理人Y

2020年5月22日金曜日

Vol.9 神々が宿る革鞄




皆様、こんばんは。


SEEGER(ゼーガー)ネタばかりでも飽きちゃうので、今日は違う話題で。


皆様、外出自粛中なので在宅時間が長いと思いますし、

映画?本?芸術とか何でもいいんですが、最近何か感動したことってありますか?


私は40歳越えたくらいからかな~、、玉置浩二さんの歌に感動します。

何回聴いても、観ても、です笑


何というか、魂を揺さぶられるんですよね~。月並みな表現かもしれませんが。。


さあ、そしてですね、この「魂を揺さぶる」という言葉に

わたくし連鎖的に想起してしまう鞄職人さん、そして鞄たちがいます。


今日ご紹介させていただきたいのはこのお方。


*画像はオルタスHPより

オルタスの小松さんです。

初めて小松さんにお会いし、鞄たちを拝見したのは2012年ころだったと思いますが、

すごく物腰柔らかで気取らない気さくな小松さんに対し、

小松さんの作った鞄たちの佇まいに圧倒されたのを憶えています。



強烈な存在感!!


整然とした細かーいピッチのハンドステッチ、美しく丹念に磨かれたコバ、

水平線のように延々とまっすぐ伸びているような念打ち、、、

加えて欧州の最高級皮革を纏ったその鞄たちは明らかに別格でした。


「すげえな。。すげえな。。。すげえな。。。。スゲーな。。。。




*画像はオルタスHPより






これはね、実物を見ないとわからないでしょう。

どれだけいい写真に収めても伝わらない風格。


私も実は長い間手縫いでレザークラフトレベルのものを作っていたことがあり、

作りのイロハは実践は別として、知っています。

それらの技術を何というか、超高次元で駆使しているのが瞬時に感じ取れました。




そこから何度かお会いする機会があって、

小松さんの作品の持つその“格の違い”の秘密をそれとなくご本人に伺った際、



「こういう工程に手間暇かけることで違いを生み出せるようにしてます」

(注:これはさすがに明記はしませんよー)



とおっしゃっていたのを鮮明に憶えており、その時はね、深く感動しました。

私が知っている以外の細部に神々が宿っているんです。

(ええ~っ?そんなとこに神を??オーマイガーみたいなニュアンスでしょうか笑)



皮革の経年変化だけではなく、鞄としての造形美、機能美が時を重ねるごとに

深まってゆく、そんな理想の鞄を地道で高度な手仕事を駆使し

製作していらっしゃるのかーと思うと、、世代を跨いで使いたくなりました

(閃いた!Pass it over プロダクトと名付けよう)。




道を究める人って、尊敬に値します。私の出会った職人さんたち、

すごい方々たくさんいらっしゃるんですが、その中で

歴代最高のハリネズミ的なお方です!!


死ぬまでに持ちたい鞄、筆頭です。



コロナが落ち着いた暁には、皆様もご興味あればぜひ店舗兼工房に足を運んで、

実物を手に取って見てくださいね。
*ちなみにすべてオーダーメイドですのでご承知おきを。




では、今日はこの辺で。


管理人Y


2020年5月21日木曜日

Vol.8 素材について(1st コレクション)




皆様 こんばんは。



世界的に新型コロナが収束に向かうにつれ、徐々顕在化してきた「企業の倒産」。

私は国内外ファッション関連のビジネスに興味があるので注目していますが、

海外の著名百貨店や国内大手のアパレル企業などが経営破綻、といったニュースが

見受けられるようになりました。

営業自粛によるキャッシュフローの悪化が一番の理由だろうと推測しますが、

今回のコロナショックを受けて企業はまた将来的に

内部留保をするようになるでしょうねー。。。


ああ、未来を見たくない気分です、話し始めといて何ですが(苦笑)。





さてさて、今日はSEEGER(ゼーガー)1stコレクションの素材について、

少し書きたいと思います。

1stコレクションは2種類の革を使用しておりまして、

一つ目はメインの型押し牛革、ボーダーハードです!




厳選された北米産の原皮を姫路で鞣しており、

通常タイコという大型のドラム型洗濯機のようなものに

なめし剤なども入れて原皮を鞣すのですが、

このボーダーハードという革はドラム内の液体温度を

一般的な温度よりやや低く保たせながらクロームと渋(植物性タンニン)で

通常よりじっくり時間をかけて鞣します。


タイコ。*参考画像です



それにより銀面(革の表面)が緩まず引き締まった、

折り皺の入りにくい堅牢度の高い革に仕上がるそうです。


型押しの模様はフランスのデュプイ社のチェルケスや

ドイツのワインハイマー社のワ―プロラックスなどのそれに似ており、

傷に強く高級感あふれる表情です。







そしてもう一つが、リザードです!!




1stコレクションは 全てのモデルにおいて、

表から見えないパーツにワンポイントで同系色のリザードを使用しております。

さりげないリュクス感といいますか、

ちょっとした色っぽさ艶っぽさを加味しております。




使用しているのはリングマークトカゲの革で、

クロームと渋の合成で鞣してあるそうです。

リングマークトカゲというだけあって、原皮は輪っか状の文様が

たくさんついているのですが、

これは鞣しの過程でブリーチ除去することが多いそう。

リングマークトカゲの原皮。蛇のようにも見えますね。



リングマークトカゲは細かな鱗が大変美しく色っぽさを感じさせる革だなあと思います。

このワンパーツがデザイン上のアクセントになっております。



1stコレクションの素材については以上になります。


これからも希少な素材や面白い素材をどんどん使っていきたいと目論んでおります。



では今日はこの辺で。


管理人Y




2020年5月18日月曜日

Vol.7 作りの特徴 その2




皆様、こんばんは。


SEEGER(ゼーガー)の作りの特徴 その2、磨きです。

磨くってどこを?と思ったあなた、革の世界(底なし沼です)へようこそ。



まず、代表的な革小物の端の部分の仕上げを大まかに2つお伝えしますと、

・へり返し
・切り目

があります。


へり返しは表の革の端を裏に折り返して接着、縫製する仕上げ。

菊寄せ(角のたわんだ部分を均等に美しく折り込んでゆく技法)などは

高度な熟練の技が必要になります。




これに対し切り目というのは「目を切りそろえる」といったニュアンスでしょうか。

端(コバといいます)を切りそろえる仕上げです。

ただ、切りそろえただけでは見た目が悪いので、各ブランドで顔料を塗布したり、

着色したりしますが、

SEEGER(ゼーガー)の革小物は染料で着色後、

つるつるになるまでひたすら磨く“切り目磨き”仕上げ

を採用しています。





染料で着色すると、色が染みこみますので

ちょっとやそっと傷ついても目立たないという利点があります。



 ややわかりにくいかもしれませんが、コバの部分が黒くツヤを帯びているのがわかりますでしょうか??
もはや革が何枚重なっているのかわからないくらい磨きこまれています。



革小物は使い込んでいくとこのコバ部分から割れたりすることが多いのですが

(特に顔料仕上げの場合)、染料を浸透させ磨いて仕上げてあるものは

コバが傷んでも再度磨けばある程度修復するので、

製品寿命が飛躍的に伸び、経年変化を長い期間お楽しみいただけるのです。



革の経年変化を楽しむことに主眼を置いているブランドさんは

この染料によるコバ磨きを施す仕上げを採用するところが多いように感じます。


以上ざっくりですがSEEGER(ゼーガー)革小物の作りの特徴を2点、

ご紹介させていただきました。


ご参考になれば幸いです。




では今日はこの辺で。


管理人Y




2020年5月17日日曜日

Vol.6 作りの特徴 その1




皆様、こんにちは。


今日はSEEGER(ゼーガー)革小物の作りの特徴について少しお話したいと思います。


ポイントは2点、貼り磨きです。


まず、貼りについて。

革は一般的に表面を銀面、裏面を床面といいますが、

美しく仕上がった銀面に対し床面は革の繊維がむき出しになっていますので、

触感としてはややざらついていたり、毛羽立っている状態です。

この毛羽立った面を隠すため裏地(化繊が多いでしょうか)を貼ったり、

はたまた質感をそのまま生かし床面むき出しで仕立てたり、と

ブランドによってさまざまです。


しかしSEEGER(ゼーガー)の場合、なんと床面に革を貼ってしまいます。

つまり表も裏も銀面という贅沢な状態にしてしまうのです。



注:1stコレクションの一部のモデルにはライニングを使用しております。






当然厚み、重みが増すだろうと容易に想像してしまいますが、

革1枚をティッシュペーパーと同じ程度の厚みに薄く漉きますので

貼り合わせても1㎜程度の厚みに収まり、非常に軽く、

むしろ1枚革の仕立ての方が重く感じたりするくらいです。


*マネークリップのカードホルダーに免許証を入れた状態。貼り合わせた革の厚みと免許証の厚みがほぼ変わりません。






加えて貼り合わせの際も、革の持つ繊維の方向を同じ方向にして貼ってしまうと、

引き裂き強度が落ちてしまいますので、

繊維方向ができるだけ交差するように貼り合わせます。

それにより強度が飛躍的に増し、耐久性が格段にアップします。


これだけでも、かなりの手間、労力、コストですね。。。


私のつたない説明ですと「そんなの簡単じゃん!」とお思いかもしれませんが、

革を紙とほぼ同じ薄さに漉くこと、1㎜程度で美しく貼り合わせることができる工場は

世界的に見ても稀有なんです。


しかしこれが紳士にふさわしいエレガンス(薄さ・軽さ・強さ)を醸し出す

礎となっています。
(いわゆる神々が宿るポイントですね、ハイ。)



さあ、そしてもう一つのポイント、磨きについては、、、、次回にしましょう。



長々書いても、読むの疲れますもんね。。。。今日はこの辺で。


管理人Y




2020年5月15日金曜日

Vol.5 SEEGER ブランドコンセプト




皆様、こんにちは。



今回はSEEGER(ゼーガー)のブランドコンセプトについて少し書きたいと思います。






1889年の創業時から“ザ・ベスト・オブ・ベスト”の追求

を掲げてクラフトマンシップを高めてきたSEEGER(ゼーガー)。


その結果幾多の受賞歴を誇っているのですが、

実際全盛期のころのバッグなどを見ると

使用している素材がラムスキンで非常に薄くデリケートだったこともあってか、、

一般的なカバンのパターニングを度外視したとても手の込んだ作りをしていました。



それはやはり“ベストの中のベスト”を目指して邁進していたが故だと思います。




新生SEEGER(ゼーガー)はその信念を踏襲し、さらに深化させたコンセプト


“God is in the details ~神は細部に宿る~”


を掲げております。
(商品名もギリシャ神話の神々やそれにちなんだ名前から付けられています)


本物の紳士にふさわしい品格と存在感は細部にまでとことんこだわった

最高峰のプロダクトのみが生み出せるもの。

それを醸し出せるモノづくりを追求していこう、Made in Japanで!

というものです。


日本の職人さんたちはこのコンセプトを実現できるポテンシャルを

十分に備えていると確信しております。

日本の技術を守るという意味でも

新生SEEGER(ゼーガー)を少しづつ浸透させていきたいです。





では、今日はこの辺で。


管理人Y






Vol.4 SEEGERのロゴについて




皆様、こんばんは。


今回はSEEGER(ゼーガー)のロゴについて書きたいと思います。




コレ。なかなかカッコいいと思っています。





それで今回お話するのはこの部分について。


牛、人、魔法の杖?バッグ?鞍?? といったところでしょうか笑







このデザイン、実はギリシャ神話に由来しており、牛はなんと全知全能の神、ゼウス!

そして背中に跨るは、ゼウスの息子で商売と旅の守護神、

マーキュリー(ヘルメース)です。

右手の杖は商業や交通のシンボルとして知られているカドゥケウス、

左手には旅行鞄(SEEGER製でしょうか)を持っており、

当時富裕層向けのラゲッジを得意としていたSEEGERにはうってつけの

”旅”をモチーフにしたイメージですね。






ここからは余談ですがギリシャ神話を読み解いていくと、

ゼウスがとても恋多き神で

多くの妻、愛人、子供がいるという事実が浮き彫りになってきます。

そして本能の赴くままに突き進んだ結果出来上がった、

神々の複雑な相関関係が見え隠れします。


現実的にはありえないでしょうが、、、神話ですからね。

ゼウスは「神々と人類の父」ともいわれたそうですが、

なるほど違った意味で納得できます。



ちなみにこの時なぜゼウスは白い牡牛に姿を変えたのか?

それは一目惚れした大地の神エウローペの気を引くためであったそうです。



うーむ。。。。。



かたや背中に乗っている息子のマーキュリー(ヘルメース)は

そんな父をどんな思いで見ていたのでしょう。。。。気になります。




ちなみに中田敦彦さんの「Youtube大学」でのギリシャ神話のお話によると、

ヘルメースは大変頭がよく、口も達者なため、

父ゼウスの浮気、不倫の火消しに東奔西走していたといわれているそうです!

まさかその役目?(笑)



とにもかくにもハチャメチャです、ギリシャ神話。

面白おかしく漫画とかにしたらすごく売れそうな気がします。



話が脱線してしまいました。


ロゴの由来、皆様の想像を掻き立てるものではないかなと思います。

私個人としては、、旅も含め「男のロマン」とでも言いましょうか、

そんなものをうっすら感じさせるロゴだなぁと思います。




ではこの辺で。

管理人Y










2020年5月13日水曜日

Vol.3 SEEGER(ゼーガー)というブランドについて




皆様 こんにちは。


全世界をじわりじわり不安と絶望の淵へと追いやった新型コロナ、

いまだに経済への影響は計り知れない状況ですが、少しだけ、

ほんの少しだけ未来への光が見えてきましたでしょうか。

イタリア、フランス、ドイツなどで一部店舗が営業再開というニュースが目につきました。

日本も特定警戒都道府県4県を含む38県で緊急事態宣言解除の方向だそうで、

感染拡大のリスクを念頭に置いて十分対策を講じながら、ではありますが、

「収束」というよりは「共存への舵切り」をしたように感じました。



さて、今日はSEEGER(ゼーガー)というブランドについて

少し触れておきたいと思います。

というか、初回か、せめて2回目には触れておきたかったですね。反省。。






SEEGER(ゼーガー)は1889年、馬具職人であったカール・ゼーガーが

ドイツのオッフェンバッハにて創業したレザーブランドです。


   カール・ゼーガー氏。立派なお髭です。

当時よりゼーガー氏の才能は高く評価され、最初のコレクションがその名を世界に轟かせた

と言われており、以降数々の受賞歴が表すように技術デザイン品質管理と全てにおいて

「ザ・ベストオブベスト」を追求し世界有数のレザーブランドとなりました。

1937年 パリ万国博覧会 グランプリ受賞


1958年 ベルギー・ブリュッセル万国博覧会 金賞受賞



名声を得るにつれ著名人顧客も増え、ヨハネ・パウロ2世、

ジョージ・ブッシュ元米大統領、フランク・シナトラ、ビートルズ、

レオナルド・バーンスタインなどなどそうそうたるセレブリティが名を連ねたそうです。

1970年代~90年くらいまでは柔らかいラムスキンを使用した”Cashmere in Leather"

(カシミアインレザー)というキャッチフレーズで富裕層向けラゲッジを中心に

展開しておりました。
当時人気のあったガーメントケース

しかし90年代以降、紆余曲折あり(万年筆で有名なM社に買収されたり)、

2010年前後を境にマーケットからも名前が消えてしまいました。

リーマンショックもあり景気が悪化しましたもんね。



個人的には、傷みやすいといラム革特有の素材のデメリットがある割に高額だったこと、

それに加えドイツのマイスター制度が結果的に商品価格の高騰を招き、

それが足枷となって衰退していったのでは?と分析しています。





さて、ここからが面白いところ。

10年ほどの沈黙を経て、SEEGERが復活。しかもMade in Japanで!!!

日本の革製品製造技術は世界でもトップレベル。

一部の高度な技術を持つ職人さんには海外トップメゾンからオファーが来たりする

こともあるというくらいですので(!)、

日本の技術がドイツのマイスター精神を継承し、そして超越するような

そんな未来への期待を抱いております。

今回の復活は当時のデザインや仕様とは全く違った現代の嗜好に沿ったテイストになり

ますので、これが万が一日本で人気を博し、世界へ向け拡大展開なんてなったら

素晴らしい限り!!


しかもそのブランドを扱うことになるなんて。。。わかんないもんです。

ビジネスも人生も何が起こるか。。。




そんな幻のブランド復活への思いを巡らせながら今回はこの辺で。

一人妄想、お許しください。


管理人Y