2020年10月27日火曜日

Vol.25 「革のダイヤモンド」 その2

 



皆様、こんにちは。


前回の続きになります。


コードバンがレーデルオガワさんにてどのように加工されているのか

その工程を拝見させていただきましたのでざっくりと

ご紹介していきたいと思います。


まずは、原皮について。

これは食文化の発達している国々(フランス、スペイン、ポーランドが主)

からの輸入が大半を占めるそうです。

国内調達は微量ではありますがやはり熊本、あと青森だそうです。


その原皮を世界屈指のコードバンタンナー、姫路の新喜皮革にて

ミモザタンニン100%のピット槽に漬け込み、じっくり鞣されたもの

がベースとなります。


写真は新喜皮革より入荷してきた状態のコードバンの加工前の状態。これをクラストともいいます。

トンボ掛けしたグラウンドのような模様が入っている面がカネ面(裏面)で、

この面を削ってコードバン層を表出させるわけです。


このクラストを原材料としてレーデルオガワでの加工が始まるわけですが、

最初の工程は油入れ、伸ばしです。

※画像はHPより引用させていただきました。

カラカラのクラストに温かい油分と水分の混合液(成分は企業秘密だそうです)

をひたひたになるくらい浸透させます。

その後、その日の気候や湿度などを考慮しながら画像の道具、スリッカーを使い

繊維を整えながら余分な脂と水分を抜き出します。


その後、乾燥させます。



工場の2階に風通しの良い干場があり、陰干しの自然乾燥を徹底していらっしゃいました。

写真は仕上げ乾燥用の部屋。最後は温度、湿度を一定にし乾燥させるそうです。


乾燥が終わると、次が削り出しです。

カネ面を熟練の職人さんが足踏みサンダーで削り出していきます。

コードバン層は約1㎜程度でクラストの中の限られた部分にしか存在しません。

非常に重要な工程です。



そしてコードバン層が表出すると周りの余分な部分(ザラ)を切り取ります。

ここまで完了するとこんな感じです。


え??ちっさ!!

大体メガネ(削り出す前の革の形状がメガネみたいなのでそう呼ばれる)から

この大きさのコードバン層が2枚取れます。この時点で手触りはツルスベです。

クラストが"メガネ”なら削り出したコードバン層はイメージ的には"レンズ”か。。。2枚取れるし。。。。

しかしレンズとは誰も呼ばない。。。。。ひらめいちゃった??いっそ名付けてしまおうか? レンズ!!!

基本薄型だぜい。削ったあとだし。。。。


コホン、えー、この次が削り出した繊維を寝かしつける作業、グレージングです。

このあたりは肝になる工程でコードバン特有の工程かと思います。


作業にあたるのは代表取締役の小川さん。



先端に瑪瑙(メノウ)のついた機械で表面の繊維を

一方向に寝かしつけていきます。

瑪瑙は約50~60℃に熱しているそうです。

みるみるうちにツヤが!!これぞ鏡面仕上げですね。



この次がいよいよレーデルオガワが最も得意とする染色、アニリン染めです。

アニリンは合成染料の一種ですが、先代の三郎氏が

独自に研究に研究を重ね編み出した

唯一無二、レーデルオガワオリジナルの染色方法です。

これは完全非公開で門外不出の工程だそうです。


染色後のコードバン。


「透き通る色」。。矛盾しているように聞こえますが、

この革を表現するには最適の表現かと思います。

染色したことがある私は、渋鞣しの革で色を美しく出すのがいかに難しいかを

ある程度知っています。

多くのタンナーは美しい色を染色ではなかなか出せないがために、

表面に色を"乗せる”んです。いわゆる顔料塗布ですね。

それはそれで発色の美しさや革表面の強度を与えます。

反面、革本来の質感は顔料を"乗せた"分だけほんの少し

伝わりにくくなってしまう側面もあります。


このレーデルオガワのコードバンの透明感が醸し出す凛とした美しさは、

発色の美しさ、コードバン特有の質感を高い次元で併せ持ったまさに

「革のダイヤモンド」!

明らかに格が違います。


梱包や出荷にも気を配っているそうで、可能な地域は基本

配達されているともおっしゃってました。

梱包もあまり見たことのない梱包。。。

傷がつきやすいので細心の注意を払っている証です。



いかがでしたか?今回私自身コードバンという革を深く知ることができ、

大変意義のある訪問になったなあと感じております。


お取り組みに向けても粛々と進行していきたいと思っております。

こちらも乞うご期待!!!



レーデルオガワの小川社長、飛田専務、この度はどこの馬の骨かわからない

私を快く受け入れてくださり誠にありがとうございました。

心より感謝申し上げます。



それでは今日はこの辺で。



管理人Y

2020年10月26日月曜日

Vol.24 「革のダイヤモンド」

 



皆様、こんばんは。


先日とあるタンナーさん、、、いや違った。フィニッシャーさんの工場に

お伺いしてきました。


フィニッシャー?と聞いて勘のいい方はお分かりかもしれませんが、そうです!

コードバンを専門に扱う世界屈指の染色加工会社(と称するべきか)、

レーデルオガワさんです!


工場は新しくモダンな印象(2017年に現在の千葉県柏市に移転、新たに建てられたそうです)。

※画像はレーデルオガワHPより引用させていただきました。


コードバンといえばアメリカのホーウィン社のシェルコードバンを筆頭に

近年では革靴や革小物の市場ではすっかり主流となりましたが、

なんと今から75年くらい前にこの革に魅了され、

人生を捧げた方が日本にもいらっしゃったんですね。

先見の明とはまさにこのことでしょう。

それがレーデルオガワ創業者の故小川三郎氏で、

私HPで氏の経歴を拝読いたしましたが、

心を掴まれました。そしてすぐ連絡。。。。

訪問させていただけることになったというわけです。


さて、朝早くから出迎えてくださったのは、

代表取締役の小川雅子さんと専務取締役の飛田英樹さん

(上の写真の中央にいらっしゃるのが小川社長。その右隣りが飛田専務です)。

お忙しいところ恐縮です。。。

お話した印象として、創業者の故小川氏の注いだ熱く深い情熱が世代を跨いで

しっかり受け継がれているのでしょう、

頑固さとは一味違う、良い意味の揺るぎない信念を感じるお二人です。



ここでコードバンについてご存じない方のために少しご説明しておきましょう。

コードバンとは馬のお尻の革で、しかもその革の繊維内に存在する

コードバン層をわざわざカネ面(裏面)から削り出すという、

従来のなめし革とは一味も二味も違う革です。

その繊維密度の高さは非常に高く、「革のダイヤモンド」などとも称されます。

確かに「削り出す」ところなどはダイヤの原石を磨く作業や発掘作業を

想起させますね。

※但し繊維密度が高いとはいえ、その強度が保たれるのは銀面(表面)を残した場合に限るそうです。

この銀面をあまり漉き落としてしまうとその強度は失われるとのこと。これは知らなかった。。。



削り出しの工程写真。使用している機械は足踏みペダルで調整するサンダー(やすり)です。

かなり古い鋳物で60年以上使用されており、今では手に入らない貴重な機械だそう。



コードバンの特徴や製造工程については前出の飛田専務が開設していらっしゃる

YouTubeチャンネルがとても丁寧で分かりやすいので(特に#3~#6、#10)、

ご興味のある方には大変おすすめです。

LEDER OGAWA YouTubeチャンネル


知った風な口をきいております私も実際のところコードバン製品を

使用したことがありません。いわゆる食わず嫌いです。

理由はそのデリケートさ。傷にも水にも弱いといわれていますよね。

使い込んだ表情は確かに魅力的です。ビカッとした色艶や存在感が

他の革とは全然違います。

でも、ズボラな私は水や傷から守ってあげられるか自信がありませんでした。


しかし今回の訪問で革の特性やケアについてもわかりやすく解説していただき、

個人的にもかなりハードルが下がりましたし、

使ってみようという気持ちになりました。

ちなみに前出のYouTubeチャンネルでも

非常にわかりやすく解説してくださってます。



さて、このコードバン、その部位の希少性や革に至るまでの工程を考えると

非常に特殊な革ですし、それゆえ大変高価です。

ホーウィンのシェルコードバンなどは高級輸入皮革の価格と比較しても、、

何と時にはゼロが1つ違ってきます(!)

しかし今回の訪問のようにその出来上がるまでの工程を目の当たりにしますと、

なるほど納得します。


完成品。写真では伝わりにくいかもですが、とてもきれいです。

ホーウィンのシェルコードバンとはまた違った凛とした美しさです。



長くなりそうですのでその詳しい工程については

次回ご説明いたします。



では、今日はこの辺で。


管理人Y





2020年10月3日土曜日

Vol.23 新企画「Trade-in」について(予告編)




皆様、こんにちは。


だいぶ涼しくなり、すっかり秋の雰囲気ですね。

今日は以前から思い描いていた企画の実施についての予告を少し。


企画名は「Trade-in」(トレードイン)。

※イメージ画像です


簡単に言うと下取りです。SEEGER商品ご購入の場合に限り、

お客様の使わなくなった古いお財布を下取りいたします。

それによりSEEGER商品が通常よりお安くお求めいただけます。

(詳細は後日オンラインショップにてお知らせの予定)


しかし今回単なる下取りではなく、古着deワクチンという

3団体による取り組みを通じ、下取りさせていただいたお客様のお品物を

発展途上国の恵まれない人々の雇用創出や

ポリオワクチンの無償提供などのためにすべて寄付させていただく、

というものです。



同時に皆様に財布についての簡易アンケートを実施、

単純に今後の商品開発に役立てたいなと思っております。

目まぐるしく変わる市場動向を見極め、皆様に求められる良い財布を

作りたいと考えておりますので、

ニーズを的確かつ詳細に掴みたいところです。

そして掴んだら最後、誰にも教えません(笑)。



この今回の取り組みについては賛否あるかと思います。

しかしながら「作って良し 売って良し 買って良し」の実現に向け、

そして新たな付加価値の創造に向け、もう一歩踏み込んだ

チャレンジをしていこうと決めた次第です。



少しでも皆様方のご理解、ご賛同をいただけますと幸いに存じます。

引き続きSEEGERをどうぞよろしくお願いいたします。




管理人Y